3月中旬から4月いっぱいまでは春の繁忙期。桜の季節、Hanamiを求めて多くの外国人が来日する。春は毎年通訳案内士にとっては超が付く繁忙期で書き入れ時なのだが、今年の問合せの多さは異常だ。
問合せが多い理由は?
コロナで旅行ができなかった世界中の人がその反動で行きたい国に行くのだと思うが、旅行先として日本はかなりの人気なのだそうだ。
そしてその人気を見逃さないのが各国の旅行を販売するエージェント。旅の目的地の流行は5年から10年で移り変わっていく。日本がブームなうちに思いっきり売ろうという意気込みが見える。日本とインドがブームになった数年前、ある国のエージェントは「インドの爆発的ブームは数年で鎮静化されるだろう。が、日本の人気はしばらく続くと思う」と話していた。
日本のツアーオペレーターもこの機会を見逃さない。各国のクライアント(旅行を販売するエージェント)に様々なパッケージを作って提案してるようだ。
ある日本のランドオペレーターから「3/19から3/27は空いてますか?桜の花見ツアーを作ってX国のY社に提案しようと思います」との問い合わせをもらった。ガイドを確保してから春の桜鑑賞ツアーを組み販売するという方法だ。残念ながら既に別のツアーが入ってたのでお断りした。
パッチワークのように埋まった3-4月!
コロナ前からお付き合いのある旅行会社数社は去年から私のスケジュールを押え初め、3-4月は数珠つなぎ状態で見事なまでにスケジュールが収まった。
普通はどんなに上手にやってもツアーとツアーの間が4-5日空いてしまったりするのだが、今年はいい具合に埋まり、手帳はまるでパッチワークのよう。
一つのロングツアーが終わって1日空けてFIT(個人客)が数日入り、と言う具合いだ。中には1も空けずに次の仕事が入る時も…。だがロングの後は必ず一日は空いてるので安心だ。
しかしちょっと入れ過ぎな感じもする。3月の稼働日はなんと25日!
健康管理、そして精算業務は気を付けないと。さらにツアーのオペレーション、これは絶対に怠ってはならない。ミスや事故は徹底的に防ごうと思う。
1-2年前からガイドを押える大手旅行会社
今年の春の人手不足は異常だが、この時期にガイド不足が発生するのは例年のこと。なので大手旅行会社は1年前から、いや中には2年近く前から押えにかかる所もある。シリーズツアーの場合、催行日は決まってるのでガイドに仕事を依頼して押え、最終的な確定はツアーの一か月前くらいに決まる。
時期によっては「集客ゼロ人でした、すみません」となるが、春の繁忙期はほぼ100%催行される。稀にそのツアーがキャンセルになっても他のツアーで補填される。
中にはあるツアーで取り合えず押さえておいて、別のツアーに割り振られる場合もある。
新規参入エージェント
通訳案内士のLINEグループのトークには「XXX国の〇〇〇〇ってエージェント、どなたか知ってますか?」といった質問が飛び交う。聞いたこともないような名前のエージェントだ。海外のエージェントから直接メールで依頼が来たり、また日本国内のランドオペレーターからもアプローチがあり、聞いたことない名前の会社が増えていることに驚く。
いきなりメールが来て「数年前にあなたと仕事をした添乗員のRitaさんからのご紹介で…」といった感じだ。うーん、Ritaさん…、どのRitaかしら?
ガイドの横の繋がりからの依頼
またガイドの横のつながりで依頼が来ることも。友人のガイドからLINEのメッセージで「ばるばらさん、3/31から4/3なんて空いてないよね。以前ご案内したお客様のお友達が来日するのだけど」と連絡が来た。当然、3-4月はいっぱいだ。
すると彼女はLINEのガイドのグループトークで呼びかけてみた。が、やはりそこは繁忙期、誰も名乗りを上げない。が、ある人が「新人さんなら知ってる。空いてるかも知れないので聞いてみる」ということで無事に決まった(ホッ)。
ガイドが一人も見つからない現実
そういう私も欧州のあるエージェントから4/15の都内観光の打診を受けた。が、そこはロングが入っている。断ると「誰か紹介して。10名から15名の小さなグループです」と泣きつかれ、私もまたガイドさんを探す羽目になった。
友人は全員に聞いてみたが見事に誰一人空いてない。そこで私もLINEのグループトークにコメントで募ってみた。ここはかなりの大所帯だ。なのに誰からも反応なし。これは困ったことになった。
ノンライセンスでも手堅い案内をする人
そこで通訳をしてる友人に泣きついた。彼女は個人のお客様のご案内経験は豊富だ。感じもいいし、通訳だから語学も達者。さらに準備は怠らない几帳面、そして責任感もある。
電話するとなんと彼女は、通訳案内士の免許がなくても案内できるようになった数年前から15名くらいの団体は引き受けていたのだと言う。ということで快諾してくれて、クライアントもガイドが見つかったと言うとホッと一安心。別のルートでも探したが異常なほど見つからなかったと言う。ああ、よかった、古い友人に助けられた。
ライセンスはなくても手堅い仕事をする人はいるし、一方で通訳案内士なのにクレームの多い人もいる。今回引き受けてくれた友人は通訳案内士の資格は取りたいが、通訳の仕事が忙しいのとお子さんがいるのでなかなか受験勉強に取り掛かれないでいるそうだ。
嬉しいのはガイドによる案内を希望して頂く事
昨今、バックパッカーのような自由旅行が日本でも流行り、ガイドブック片手に自由に観光するツーリストが多い中、ガイドをつけて観光することを希望されるお客様がまだまだいるのは嬉しいことだ。
なのにその方々にガイドが見つからないのではなく、適正な案内人が付くことにより、この複雑な日本の文化や歴史をより良くご理解頂き、日本の滞在を楽しんで頂くという事だと思う。