アンケートで低い評価をもらうのはショックだが、クレームはもっとショックなはず。
内容によってはその旅行会社から仕事がもらえなくなることも…。
が、クレームにも様々なタイプがあります。
お客様の性格に問題がある場合もあります。
が、今日はガイドの案内の仕方が問題でクレームになった例を考えてみたいと思います。
いずれの例も、同じようなパターンで複数回のクレームがあった例であり、
ある旅行会社のアサイン担当者さんから共有されたものです。
🔹最も不名誉なツアーの途中降板
ツアー中に他のガイドと交替させられること、これはショックですね。
旅館など宿泊中なら去っていく淋しそうな姿をお客様に見られてしまいます。
これは私の経験ですが、あるエージェントから電話があり、
「ばるばらさん、突然申し訳ない、今夜北陸に行けますか?」と頼まれました。
なんでもあるグループについてるガイドが不評で、数日は我慢したがもう限界、
せっかくの日本旅行、高いお金を出したのに何のためのガイドなのか…、
ということで直ぐにでも交替させたいのだという。
最終の新幹線で金沢に到着し、団体が宿泊してるホテルにチェックイン。
すると現地から同行してる添乗員さんが挨拶に降りてきた下さった。
聞くと今日まで付いていたガイドさんはバス内での案内が乏しく、
何度も「もっと話して」と催促し、つまりチャンスを与えたのだが、
その都度ほんの少し何かを話すがすぐにマイクを置いてしまうそうなのです。
北陸はバス移動がかなりあり、ガイドとしては様々なことを説明する絶好のチャンス!
この機会を生かさない手はないんですよね。
なのにマイクを置いてしまうとは→ネタがない、いや用意してない?
🔸案内が乏しいガイドとは
途中降板は、特に新人さんが団体デビューした直後にはよく聞きます。
が、新人だけでなく中堅のガイドさんにもあります。
やはり理由は「案内の内容と量が乏しいこと」ですね。
これはその人の性格によるものなのか?
それとも準備不足なのか?
おそらくどちらも、だと思います。
話すネタは最初のうちはたくさん用意しておき、すぐに出せるようにしておきます。
不器用でも一生懸命に案内してる様子は好感が持てるでしょう。
汗びっしょりでも頑張ってる姿は日本人らしいものです。
性格によるものとは、知識が乏しくてネタが不十分な状態なのに
スルーガイドの仕事を受けてしまった心臓の強さの事です。
数日でもガイドを受けたからには「この程度でいいや」ではなく
「これでもか!」というくらい、できるだけ沢山のネタを集めておき
きっちり用意しておかないと気が済まない性格くらいがいいです。
🔸スルーでなくてもある途中降板
都内観光中のガイドの発音が悪くて何を言ってるのかわからず、もう我慢の限界で、
現地から来てるベテラン添乗員が日本人ガイドをバスから降ろしたという話がありました。
おそらく何度も来てるので「自分でやった方がまし!」と思ったのか…。
これは聞いた話です。正直言って「本当なのかな?」と思いました。
というのは現在の都内観光は、観光地のバスの降車と乗車の場所が違い、
ドライバーさんとの連係プレイ、つまりコミュニケーションがが必要だからです。
つまり添乗員さんがお客様に説明できたとしても、ドライバーさんとのやり取り
「ここで降りるけど,乗るのは寺の裏の信号の先ね」といったやり取りは必須です。
が、この話を聞いたのは今から10年くらい前なので無きにしも非ず、ですね。
🔹庭園や博物館すぐに自由はNG
入園してすぐに自由時間にしちゃった…⁉
これはもう確実にクレームになります。

岡山の後楽園など、日本を代表するような美しい庭園に来て
入場券を配り「いざ入園!」という時にガイドさんが集合時間と場所を伝え
自由行動になってしまったという話を何度か聞いたことがあります。
これは新人さんだけに多いというわけでもないようです。
また美ヶ原高原美術館や箱根彫刻の森美術館といった広い美術館で
FIT(2~4名様の個人客)のお客様をいきなり自由にしてクレームになった。
これもたまに聞きます。
東京に戻る車の中でお客様から本国のエージェントにクレームが行き、
そのエージエントから日本の旅行会社にクレームが入り、
お客様と別れたガイドに「明日から来なくていい」と言う連絡が入ったとか…。
これもあくまでも聞いた話ですが本当だとするとまずいですね。
FIT(個人客)の場合は殆ど自由時間はないと思った方がいいです。
自由時間と言うのは団体行動を余儀なくされるグループのお客様に
少しでも自由にお買い物や散策をする時間を与える問う考え方ですね。
FITのお客様は彼らしかいないのだからとことん付き合ってあげるべきです。
🔹話が続かない?視点を変える
日本庭園も博物館も、いやどこでも下見は必須です。
もし何らかの理由で下見ができない場合でも決してお客様を離さずに、
とことん同行して、お写真を撮ってあげたりするべきでしょう。
またできるだけその庭園や日本特有の植物の話などをして差し上げます。
庭園の歴史や敷地面積などの話から、日本の気候の話、例えば降水量が多いこと、
それによって植物の成長が速いこと、雑草や虫が多いことなど、
お客様の国と日本の違いを話す絶好のチャンスだと思います。
また彫刻が並ぶ庭園では、下見をしてない場合や知識が乏しい場合は、
走って行って彫刻のタイトルや作者名、出身国等を読んで、
ゆっくりいらっしゃるお客様に伝えてあげるだけでもいいです。
このように新人でも一生懸命出来ることがありますね。
自分のガイド像が見えない時期は、とにかく一生懸命伝えることで、
お客様は「ガイドさんがいてよかった」となるわけです。

🔸ガイドは教授ではなく接客業
ある旅行会社のアサイナーさんから聞いた話です。
クレームまで行かないにしてもお客様が帰国後にご指摘になる内容で多いのが、
60歳以上の男性ガイドでかつて海外で輝かしい地位にいらした方々の態度や、
プライドの高さに関するものだということです。
特に知識の披露に夢中で、お客様がお疲れでもうウンザリしてることに気付かないなど、
これはお客様の様子を伺えばわかりそうなものですね。
私も東南アジアのある都市の寺で日本語を話すガイドさんから声をかけられ、
国家資格もお持ちだったので一日ガイドを20ドルでお願いしました。
が、お寺5軒目くらいで疲れてしまいました。もうみな同じに見えてきて、
その違いが全く頭に入ってきません。
が、ガイドさんは一生懸命です。
そしてあと一軒どうしても見てほしいお寺があると言います。
さすがの私も「ごめんなさい、今日はもうこの辺で…」とお断りしました。
私の顔には疲労の色が濃く表れていたと思うのですが…。

🔹クレームをもらった旅行会社は
クレームだけでなくガイドの評価が著しく低かった場合に旅行会社は
お客様の話だけを信じるのではなく、ガイド本人にも事実確認をします。
お客様の言ってる事が自己中心的でおかしい場合もありますし、
コミュニケーションのミスによる勘違いもあります。
例えば「●●で○○できなかった時ガイドは一切何もしてくれず、
”これは仕方ない”としか言わなかった。が、自分たちでトライしたらできた」など
いかにもありそうなケースですが、ガイドの立場として出来かねるということ、
そして出来ない理由がお客様に伝わってなかった等です。
またお客様が旅行先で当然の権利を得ることができなかった場合など、
ガイドがいることによって少しは有利になるはずであるべきなのに、
ガイドさんはまったく協力せずに親身にもなってくれなかった。
そんな印象を与えてしまった時点でお客様はガイドに懐疑的になります。
なのでガイドは出来るだけのことをやって差し上げたのだが、
それでも無理だったという状況を見ていればお客様も納得したかも知れませんね。
なお、旅行会社のアサイン担当者は
「ガイドに対してひどいクレームが来た場合、すぐに鵜吞みにせずに
まずは事実確認をする。が、内容によってはしばらくはアサインを控えることもある」
と言ってました。
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