G-ZRD88RV0FB 最近よく聞く「富裕層」。これからのインバウンドのキーワード?ご案内にはそれなりの技術がいる。そこを狙うのもあり? - 通訳ガイドのオモテナシ奮闘記 by ばるばら

最近よく聞く「富裕層」。これからのインバウンドのキーワード?ご案内にはそれなりの技術がいる。そこを狙うのもあり?

ガイド雑記

富裕層を誘致?こんな動きがあるのかな?と最近思う。インバウンド関係の集まり等で「これから需要があるのは富裕層をご案内できるガイドである」とか「富裕層のご案内をするにはやはりある程度の経験や素養が必要だ」といった話を小耳にはさむことが増えた。経済的に質の高いツーリスト=「富裕層」ということか?

🔹観光客数のみを重視した政府
日本政府はかつて「年間来日観光客数●●●百万人を目標に!」などと声高に叫んでいた。そしてsnsの効果や口コミも相まって来日する観光客の数は着々と増えた。どこに行っても外国人でいっぱいとなり、観光地のみならず普通の街でも外国人観光客の姿を多く見かける毎日だった。そこで思ったのは、観光客の数を増やすことに成功した日本政府は諸手を上げて大喜びしたのだろうか?

🔹一番増えたのはお金を使わない自由旅行者
コロナ前のインバウンド急成長の背景で聞いたのは、金を落とさないバックパッカーが増え、またオーガナイズされたツアーでも聞いたこともないような新規参入の手配会社が現れ、粗悪品が横行し、クレームやトラブルも急増したということだ。政府が観光客数のみにこだわった日本のオモテナシプッシュのおかげで日本の経済成長にあまり貢献しないツーリズムを生む結果になったということらしい。

🔹観光客急増→ガイド不足→資格不要で誰でもガイドさん!
ガイドの立場から言わせてもらえば、観光客を増やすために日本政府は通訳案内士法を改正し、資格がなくても誰でも観光客の案内ができるようにしてしまった。結果として日本に住んでもいない外国人が毎月訪れる箱根や日光を平気で案内する世の中になった。または日本に住んで1,2年の、日本文化の成立の歴史もわからない外国人ガイドも増えた。誰もが手配し、誰もが案内できる国にしてしまった背景には「日本政府の数にこだわった外国人誘致」に原因があったとしても過言でないと思う。

🔹コロナでリセットされた今…
さて、ここに書いたことはみなコロナ前の現象である。コロナでインバウンド産業はゼロになった。すべてリセットされたわけだ。そこで観光庁を初めとする日本政府はインバウンド産業を以前の混乱的な状態に戻したいのかな?と注意深く観察してみた。

🔹というわけで最近よく聞くキーワードが「富裕層」
しかし富裕層って何だろう?普段私が案内してるツアーだってお客様はコロナ前で4000-5000ドル、最近の燃油サーチャージ等の値上がりで6000ドル位は払って参加されている。この層の団体客またはFIT(個人客)、彼らは十分に富裕層なのではあるまいのか。都内観光や箱根観光にプライベートカーをつけるようなお客様だと、これは富裕層の中でも上流階級と言ってもいいと思う。また長年やってると時としてプライベートジェットで来日するような「富豪」に当たることもある。

私は正直言って上流階級の気高いお客様や、お金に糸目をつけない大富豪の案内はできればお断りしたいところだ。都内観光は9時出発のお約束なのに実際にホテルを出発したのは10:30だったり、全く先が読めなくて、お客様が何時に降りていらしてもいいようにホテルのロビーで待機した時間のことしか覚えてないことが多い。

そして、商業施設等でも到着したエレベーターに、他の人を無視して真っ先に乗り込んでしまい、先に待っていた日本人からガイドが睨まれるような事態が必ず発生する。予約したレストランも気まぐれで「今日はもう行かない、食べたくない」と言い出されることも。このようなお客様にはホテルのコンシェルジュ経由で予約することにしている。ガイドが自力で探した店や普段ひいきにしてる店でこんなドタキャンをやられては、すべて自分のペナルティとなってしまう。ホテルのコンシェルジュを通せばペナルティはお客様のカード請求となる。

政府が増やそうといてるのがこのクラスのわがままな上流階級富裕層だとしたら、正直言って私はご遠慮させていただくので、富裕層専門ガイドを目指す人がいたら是非道を譲りたいと思う。この分野を狙えば将来きっと重要があるのではないか?と思うくらいに最近急に耳にするのが「富裕層を案内できるガイド」というキーワードなのだ。